
name : ubusuna
place : Awaji, Hyogo
本計画の対象敷地内には、1948年竣工の伝統構法の建物とその後に増築された在来工法の建物があり、本設計は、それらを一体として宿泊施設に改装することが要件であった。同じ木造でも地震力に対する挙動が異なる2棟を一体のものとして使うために、両者の中心を貫く筒状の壁を計画した。この南北軸の壁が耐力壁となり、伝統構法と在来工法の部材同士を接続させることで、2棟の構造形式を一体化した。
また、敷地内には南側と北側、中庭の3つの庭が存在していたが、それぞれ2棟によって分断されていた。それぞれの庭が路地によって緩やかに繋がることで、2棟の数十年のを貫く線的なシークエンスに豊かさを与える余白の風景となるように庭を位置づけた。
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建築の内部は、空間と動線で構成される。食べる寝るなどの機能的役割の空間があり、各空間を接続する動線がある。中心の通路がコンセプトである本計画では、両者の境界を曖昧なものとして設定した。この建物の中心を貫いている石畳は、動線としては幅が広く持て余してしまうが、空間ほどの機能的な用途はない。長さ15m、幅1.7mという寸法を設定することで、空間とも動線とも言えない場所を設計した。建物内の各用途を緩やかに接続しながら、それぞれの部屋の雰囲気や使い方が少しずつ中央に染み出してくる。ダイニングから通路に椅子を持ち出して中庭を眺めたり、壁にプロジェクターを投影してスクリーンのように使ってみたり、夕暮れ時になると中庭からの木漏れ日が入り込んできたり、通路の左右から様々なシーンが溢れてきて長い線の空間を彩る。
石畳から和室と洋室の2つの客室に入ることができ、それぞれ異なる趣の客室となるように設計している。中庭に面した和室の客室と、中庭を挟んだ向かい側にあるラウンジの小屋組みは現しにすることで、伝統構法と在来工法が一つの建物のなかに共存していることが分かるように計画している。






