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m-hotel

name : m-hotel

place : Awaji, Hyogo

 初めてこの古民家を訪れた際、正面の扉を開けた先、暗がりの奥に光が差し込んでいる風景が象徴的であった。中庭が絵画の額縁のように切り取られ、そこだけが時間の流れが止まっている静物画のように見えた。その絵画性をより強調させているのは、玄関と中庭の平面的なズレであることにも気が付いた。右図のように、一点透視で描いたときに、手前と奥が微妙にズレていることで違和感を感じる。奥の空間が異なる世界のように錯覚してしまう。
 今回の計画では、その象徴的な絵画性を高めるために、中庭のズレを強調する軸線的な要素を追加した。引違い戸であった玄関戸を両開き戸に取り替え、小上がり部の中央を割り、その中心に古材のテーブルを配置した。この一連の操作によって、中庭が建物全体の中心から外れている違和感は増し、より中庭が非現実的な儚さと美しさを帯びることを意図している。扉を開いたとき、奥に浮かび上がる情景は、時間が止まっているようであるが、実際には時々刻々と光が変容している。超現実世界を映し出す舞台装置のような演出となっている。


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