未分類

anco

name : anco

place : Takamatsu, Kagawa

 高松市内のビルの3階にあるカフェの設計。空間の中に入れる什器類は、アンティーク家具を入れたいというクライアントの要望と、新たに大きなカウンターテーブルを設置することが要件であった。アンティークというエイジングした古いものと、今回設計するカウンターという新しいものをどう関係付けるかを念頭において設計した。
 エントランスから入って左側のアンティークのテーブルセット5組と、右側の新しいフルフラットカウンターという年齢の異なる什器を緩やかに接続するために、中央にアール状の垂れ壁を設計した。アール壁の曲率は、アンティーク家具を緩やかに包み込むような形状でありつつ、客席に座ると自然にカウンターテーブルに目が向かうような造形とした。アール壁という最小限の建築断片によって、大げさな手法は用いずとも、それぞれの什器が空間のなかで接続することを意図した。
 12坪という比較的狭い店内であったため、家具のレイアウトは間隔を広めにして、自由に角度を振ることで、余白と遊びを入れた。それに対して、カウンターは腰壁に等間隔のピッチで縦桟を入れ、シンメトリーな造形とした。無秩序な配置の古いものと、整然とした秩序のある新しいものが対比的に見えるように設定した。
 マテリアルは、年齢の重ねた家具の深みのある質感に対して、カウンターの天板は人工石研ぎ出し仕上げとすることで、異なる表情になることを意図した。
 造形的に、素材的にも佇まいの異なる両者を中央のアール壁が媒介となることで、古いものと新しいものを緩やかに関係付けるという構図となっている。