
name : o tokyo
place : Chuo-ku, Tokyo
意味のないモノが潜在的にもっている「存在」としての美しさに興味がある。時間の経過に伴って機能的意義を失った構造体。人知れずそこに存在しているだけの石。制作した人の時間軸を超えて数百年かけて自然に還る人工物。意図が消失して、物体としての形象のみが存在している状態をモニュメントと定義して、その連続から成る什器を計画した。
空間の用途は、自社のオフィス兼カフェであり、街に開いた空間になることを意図した。ここでは様々なバックグラウンドを持つ方々が自由にクリエイションを拡張していく風景が生まれることを目指している。誰かが持ち込んだ概念や物が、文脈なくこの場所に併置される状態を受け入れることで、予期しなかった違和感や非日常がクリエイションの原点となることを期待している。制作プロセスとしては、全体の形は検討せずに素材を集めるなかでその特性を理解しながら設計を進めた。様々なモノが脈絡なく併存するという空間のコンセプトを象徴するように、意味や文脈から検討せず素材と向き合うなかで形態を導き出し、什器として成り立たせるときに建築構造やディテールを再解釈して用いている。意味や背景に囚われず、マテリアルそのものに焦点を当てることで、物質がもつそれ自体の存在価値を模索している。




各什器の形態と構成は、石と柱梁、土台と床組、鉄骨柱とコンクリートの壁柱など、建築の構造やディテールを抽出・再解釈し、様々な建築構造の抽象が混在するように計画した。木造伝統構法やRC造、鉄骨造などをモチーフとした構造形式が繋がることで、全長7mのテーブルとして成立している。各部分の形態生成のプロセスとしては、〇△□という普遍的な幾何学の組合わせを基本形に、素材と対話しながらそれらをデフォルメして構造化した。各部分は本来の建築物の構成要素としての文脈から切り離されてオブジェ化し、抽象的な形だけがそこに存在している。
素材は淡路島を中心に調達し、石、土、木など自然本来の姿のものから、鉄、タイル、セメントなど人の手が加えられたものまで、計20種類を選定した。制作には、木工、鉄工、石工、左官、塗装など総勢13人の淡路島の職人が協力してくれた。採石場や制作工場に足を運び、素材と職人の声を聞きながら約半年間に渡って制作を進めた。各素材の特性と、各職人の技術の統合によって生み出される「複雑な統一性」という秩序と無秩序が混在した形の連続的風景を表現している。これらの一連の什器は、淡路島の職人の美しい技術と素材の豊かさのもとで成り立っている。














